ブラインシュリンプとはどのような生き物か
まず初めにブラインシュリンプの生態を紹介したいと思います。ブラインシュリンプは正式にはアルテミアといいます。
アルテミアは世界各地の塩湖などに生息している小型の浮遊性の甲殻類です。塩水(ブライン)に暮らす甲殻類(シュリンプ)なのでそういう名前がつきました。
アルテミアは普段、植物プランクトンなどをエサに水中で暮らして繁殖していますが、生息地が季節変化などで干上がり始めると乾燥にも耐える耐久卵を産みはじめます。
そしてついに生息地が完全に干上がった時には生息していたアルテミアは全て死に絶えるのですが、残された耐久卵は地中で眠り続けます。
再び生息地が水で満たされると、この時を待っていた耐久卵から幼生が孵化し、競合のいない新しい世界で再び繁栄を始めます。
つまりアルテミアの耐久卵は何年も保存ができ、かつ塩水にさらせばいつでも好きな時に幼生を孵化させられる性質を持っていることになります。
アルテミア耐久卵のこの性質を利用して、この生物は広く動物プランクトンを必要とする水産生物のエサとして利用されてきました。ミズクラゲのエサとしても大変便利な生き物です。
ブラインシュリンプの孵化条件
ブラインシュリンプの耐久卵は一般に販売されています。その孵化には条件があるので、それをしっかりと整えることでロスを減らしてたくさんの幼生を得ることができます。
卵を浸す塩水は塩分濃度2.5~3%
水温は約28℃
強めのエアレーション
上記の条件を整えてアルテミアを孵化させます。
ブラインシュリンプの孵化方法と収穫方法
まず容器を濃度2.5~3%の塩水で満たします。この塩水は食塩水でも問題ありませんが、カルシウムやマグネシウムを含んでいる人工海水の方がより孵化率がよいです。
天然の海水も利用できますが、オートクレイブ(高圧蒸気滅菌器)でしっかりと殺菌した海水に限ります。
殺菌した海水でないと途中で雑菌が繁殖して孵化が失敗しやすくなります。
塩水の入った容器に適量のブラインシュリンプの卵を入れて、エアレーションします。
容器を約28度に保ち24時間したら幼生が誕生しています。
幼生が誕生した容器には多量の卵の抜け殻や、孵化しなかった卵が残されています。
卵の抜け殻や、孵化しなかった卵は不要なので、容器から幼生のみを取り出します。
エアレーションを止めると、次第に抜け殻や孵化しなかった卵は表面に浮いたり、底に沈んだりして分離していきます。
容器の中層には生きたブラインシュリンプの幼生が泳いでいるので、幼生のみをスポイトなどで吸出します。
ブラインシュリンプの幼生が光に集まる性質を利用して、ライトで照らして効率よく幼生を収穫する方法もあります。
ブラインシュリンプを孵化させるときのコツと注意点
意外と知られていないのが孵化させるときに光を当てることです。当ラボでも光を当てることで失敗がほとんどなくなりました。
当ラボでは孵化容器の側面にライトを立て掛けて卵によく光が当たるようにしています。
もう一つの注意点は孵化容器を清潔に保つことです。
孵化容器の内側は汚れやすいので、孵化後は毎回スポンジで清掃してください。。
不潔のまま使い続けると急に孵化率が悪くなることがあります。
便利なツールとして日本動物薬品さんが出している「ハッチャー24」という製品を使うのがお勧めです。
当ラボでは水を満たした小型水槽に、28度設定のヒーター、ライト、エアーポンプとハッチャー24をセットしてアルテミアを孵化させています。
ハッチャー24を使ったブラインシュリンプの孵化方法は→【コチラ】